第九回(2022.3.9)
22/3/9
2022年も早3月になりました。年初から今日までの間に、コロナ感染症の第6波が襲来し、これまでになく感染者が増加しました。しかし、重症化率は低く、幸いにも危機的な医療崩壊には至りませんでしたが、新たな状況への対応に追われることになりました。
そして、コロナ禍の拡大がやや低下したとき、起こったのが、ロシアのウクライナ侵攻です。第二次大戦後初めての大規模な戦争であり、21世紀に入って、大国によるこのような理不尽な侵略戦争が起こるのかと驚きと失望を禁じえません。
いずれにせよ、コロナ禍はもとより、この戦争によって、世界が大きく変わることはまちがいありません。これからは、人類がこれまで経験したことのない社会になることでしょう。社会生活にせよ、経済活動にせよ、安全保障にせよ、これまでとは異なる新たな制度、社会の仕組みを形成していかなければ、将来の不安は取り除くことができません。
このような将来の未知の社会における制度をデザインすることこそ、NFIがめざしている活動ですが、現実の変化は、研究活動が成果を生み出す速度より、はるかに早いといわざるをえません。
とくにロシアのウクライナ侵攻後、SNSを使った情報発信力の重要性を改めて感じます。草の根の一市民が匿名で全世界に発信できるSNSは、侵略者に対する強力な抵抗の“武器”となりうることを示した。しかし、同時に、この抵抗の武器は、無辜の民を傷つける“凶器”としても使うことができるのです。
健全な民主主義を育成していくために、このツールがもつリスクを避けつつ、メリットを引き出していくには、どのようにすればよいのか。社会において、どのような規範やそれを実行する制度が必要なのか。NFIは、今まで以上に、このような課題に挑戦しその成果を発信していきたいと考えています。議論への積極的なご参加を期待しています。
森田 朗(NFI代表理事)